こちらでは、宇宙・ロボット・未来的・少し不思議、など、広義な意味でのSF漫画というカテゴライズで面白い漫画をまとめています。
SF漫画は、ファンタジーに負けず劣らず夢のある設定が多いジャンルですが、ファンタジーとは違って土台は現実世界のルールに即していたり、あくまで現実世界の延長線上として設定付けや世界観構成がなされているのが特徴です。
ジャンル別TOP3をまとめた記事はコチラ!
亜人 / 桜井画門【完結済み】
『亜人』は、現代に突如として現れた亜人と呼ばれる「死なない人間」の戦いをテーマにしたSFファンタジー系漫画です。ここで言う『戦い』とは、主義主張の異なる亜人同士の戦いを指すと同時に、一般人から逸脱した理解不能な存在(不死者)と一般社会との戦いでもあります。
徹底的に合理主義な主人公『永井圭』は、交通事故によって自分が亜人であることをはじめて知り、同時に、それが公衆の面前で晒されてしまいます。そして、そこから亜人としての人生と戦いに巻き込まれていくことになります。
『亜人』において特に熱いのは、なんといっても主人公『永井圭』と、すでに亜人として知られ、軍隊を経て心技体すべてにおいて戦うことに最適化された宿敵『サトウ』の高度な知能戦です。
漫画としての間の使い方もかなりうまく、読む人に心地よい緊迫感とゾクゾク感を提供してくれます。
- 知能戦が好き
- 合理的な主人公が好き
- 銃火器のあるリアルなアクションシーンが好き
そんな人にはぴったりの漫画です。
彼方のアストラ / 篠原健太【完結済み】
『彼方のアストラ』は、近未来が舞台の宇宙系サバイバルSFで、謎の装置によって遠く離れた宇宙に放り出された少年少女たちが、いくつもの障害を乗り越えながら故郷への帰還を目指すマンガです。
この『彼方のアストラ』の最大の魅力は、宇宙系SF固有のワクワク感と、息をつかせぬ怒涛のミステリー展開です。単純な宇宙系SF漫画と侮ってはなりません。本作に仕掛けられた極上の謎とどんでん返しが、ページをめくる手をフル稼働させてきます。
全5巻という比較的短い巻数で完結済みですが、込められた物語の密度は大長編を読んだかのような気分にさせられるほどで、読後感も最高です。
少ない巻数で完結済みの名作が読みたいという人は、ぜひ読んでみてください。
シドニアの騎士 / 弐瓶勉【完結済み】
『シドニアの騎士』は、とある異生物によって太陽系を破壊された千年後の世界で、人類の繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅する船『シドニア』を舞台に繰り広げられる、SFロボット漫画です。
主人公はシドニアの最下層で育った謎の青年『谷風長道(たにかぜ ながて)』。彼は衛人(モリト)と呼ばれるロボットのエースパイロットになるために秘密裏に育てられた人類の最終兵器で、物語は彼がシドニアの上層に現れるところからはじまります。
『ザ・ロボット漫画の王道!』的な設定だがそれが良いんだよ!
本作は圧倒的な才能で独自のSF世界を描いてきた弐瓶勉先生の作品で、シドニアの騎士も弐瓶ワールドを受け継いでいます。本作に出てくるロボット『衛人(モリト)』も、無骨とスタイリッシュのハイブリッドという感じで、めちゃくちゃカッコいい。
弐瓶勉先生の作品の中では比較的ストーリーがわかりやすく、後述する『BLAME!』や『BIOMEGA』と比べても入門としてかなり読みやすくなっているので、弐瓶ワールドにはじめて触れる人にもおすすめです。
BLAME! / 弐瓶勉【完結済み】
『BLAME!』は、無限に増殖していく階層都市の中を、主人公であるキリエが重力子放射線射出装置というバカみたいな威力の銃を片手に旅する姿を描いた漫画です。
ちなみに、わたしが一番好きなSF漫画といっても過言ではありません。
本作では、主人公のキリエが、発達したAIに支配されたネット世界へダイブすることができるキーアイテム『ネット端末遺伝子』というものを探しているのですが、その旅の中で描かれるこの無限階層都市の描写がとにかくすばらしいです。
独自世界の圧倒的な魅力に没入できる傑作ですので、ぜひ一度読んでみてください。
BIOMEGA / 弐瓶勉【完結済み】
『BIOMEGA』は、ドローンと呼ばれるウイルス感染者(簡単にいうとゾンビ)が広まった世界を、驚異的な戦闘能力を持つ合成人間である主人公『庚造一(かのえ ぞういち)』が、エージェントとして生き抜いていく漫画です。
主人公の目的はウイルスに適応する特別な人間を探すこと。そして敵は、逆にこのウィルスを使って人類と世界の改変という大がかりな野望を遂行しようとしています。
6巻で完結するマンガですが、短い中に詰め込まれたこのウイルスをめぐる物語の壮大さが本作の魅力でもあります。ちなみに本作も『シドニアの騎士』や『BLAME!』を書いた弐瓶勉先生の作品で、作中に登場する固有名詞のワクワク感はさすがというところ。(例:東亜重工、複脳式弾体加速装置、など)
そう、わたしは弐瓶ワールドが大好きだ!
『BLAME!』や『シドニアの騎士』が好きなら間違いなく楽しめる作品なので、当てはまる人はぜひ読んでみてください。
大ダーク / 林田球
『大ダーク』はドロヘドロなどで知られる林田球先生によるダークSF漫画です。
広大な宇宙を舞台にしたSFファンタジーテイストなマンガですが、ドロヘドロに通ずるジメっとしつつ混沌とした世界観が最大の魅力。
登場人物たちもクセのあるキャラクターが多く、あっけらかんとしたブラックジョークが飛び交います。
林田先生にしか描けない価値観と世界観が如実に感じられるマンガでもある。
作中では『死』がたびたび描かれますが、キャラクターたちの『死』の捉え方があっけらかんとしすぎていて、不思議な『間』のようなものを感じさせてきます。そしてその『間』が独特の世界観への没入を促してくるので、それが深く刺さる人はやみつきになる作品だと思います。
地底旅行 / 倉薗紀彦【完結済み】
『地底旅行』は、1864年に刊行されたSF(少し不思議)小説が原作の冒険漫画です。
「アイスランドのスネッフェルス山の頂にある火口の中を降りていけば、地球の中心にたどり着くことができる」
そんなメモを見つけた鉱物学の教授オットーが、甥であるアクセルと屈強な案内人ハンスを連れて実際に火口からどんどん地底にもぐっていくお話になります。
冒険と聞くとついつい広大な別世界への冒険を思い浮かべてしまうものですが、地球の中心への旅というのも心躍る未知への冒険で、道中で現れるさまざまな謎がそんな冒険心をさらに強くかきたてます。
ワクワクする漫画が読みたい人にはこれ以上なくピッタリな漫画で、巻数も全4巻で完結済みと、きれいに収まっている作品なのでとても読みやすいのもポイント。
原作小説は東京ディズニーシーのアトラクション『センター・オブ・ジ・アース』の原作にもなっています。
あまつき / 高山しのぶ
『あまつき』は、現代人『六合鴇時(りくごう ときどき)』が、ひょんなことからかつての日本『江戸』に酷似した異世界『雨夜之月(あまつき)』に転移してしまい、そこから元の世界へ戻る方法を模索する妖怪ありの和風ファンタジー漫画です。
ちなみに、上記で和風ファンタジーといっておきながら、なぜSF漫画のジャンルにカテゴライズされるかは本作を読んでいただければわかると思います。
物語や世界設定の謎を解き明かしていくミステリーものとしても大いに楽しめる作品ですので、気になった方はぜひ読んでみてください。
百万畳ラビリンス / たかみち【完結済み】
『百万畳ラビリンス』は、ゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていた女の子『礼香』が、ルームメイトの庸子と共にまるでゲームのデバックルームのような広大な木造迷路に迷い込んでしまうミステリーファンタジー漫画です。
見どころは、法則性のつかめない世界の謎に対するワクワク感と、その謎に対してデバック的発想の面白さで問題を解決していく『礼香』の行動にあります。
ミステリーとしての質の高さも魅力ですが、上下2巻でしっかり完結する物語の構成力の高さもポイント。意外な結末に読後感も最高ですので、さっと良作が読みたい人にはぴったりです。